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『ビブリア古書堂の事件手帖 (6)』

『ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~』

著者:三上延
出版:KADOKAWA アスキー・メディアワークス/文庫本
発行:2014年12月25日



本屋大賞を取ってから大ブレイクした『ビブリア古書堂』シリーズ。
発売当初から気になってはいたのですが買いそびれ、
巷で人気がピークになっていた頃には敬遠していたのですが、
4巻まで出ていた頃にカッとなって既刊をまとめ買いしてからは気に入って拝読してます。
古書を巡るミステリー作品で、
基本的には1話完結ですが全体が伏線となって繋がっていくので、
6巻まで読んだ段階で気になる部分などもあって1巻から読み返しました。

私にとってのこのシリーズの印象は「紫陽花」「雨」「ノスタルジー」。
読んでいてどこか懐かしい気配がします。
物語の舞台となっている場所にもそれなりに馴染みがあり、
古書に纏わる話も私自身に知識がある訳ではないのですが好きな話題なので、
なんとなく親しみやすいのかも知れません。

ただこのシリーズを読んでいて頭を掠めるのが「ドラマ」の影。
原作小説が気になりながらも読んでいない時にドラマ化が決まったので、
話題になっていた事もあってドラマを見る事にしたのですが……
ドラマ自体はよく出来ていたと思います。
しかし、ドラマ化が決まった時から言われていた事ですが、
主要キャストがですね……原作小説から懸け離れていてですね……
小説を読んでいる時にドラマの映像イメージが掠めると、
なんというかちょっと小説に集中出来ないっていうかなんていうか……(遠い目)
最近になってその影がやっと薄れてきました。
私にとってのこのシリーズのビジュアルイメージは小説のイラストが正義です。

ただ、ドラマのキャストは小説とは懸け離れていましたが、
主人公である栞子さんの母親役だった安田成美さんは見事だったと今でも思います。
外見的なものはやはり小説とは全く違うのですが、
あの何とも言えない雰囲気は原作を読んだ後でも違和感なく思い出されます。

もうすぐ完結だそうです。
これまでの印象を裏切らない最後を期待しています。

『f植物園の巣穴』

『f植物園の巣穴』

著者:梨木香歩
出版:朝日新聞出版/単行本/文庫本
発行:2009年5月7日/2012年6月7日



単行本が出た時に買って読んだまま本棚入れっぱなしだったんですが、
最近ちょっと思い出して読み返したいな〜と思っていたら、
出先で文庫本が出ているのを発見して購入。
久しぶりに読み返しました。
以前読んだ時に「こういう雰囲気だった」と思っていた記憶からは、
何故かちょっとイメージが違ったのですが、
梨木香歩さんの本領発揮といえばこういう系統だよねという印象。
これをもって「読みやすい」と言えるのかどうかは好みが分かれそうです。

冒頭が歯医者に行くところから始まるんですが。
丁度、作中と似た様な状態で「歯医者に行かなくては…」と思っていたところで、
なんだか妙な縁を感じると共にこれは「早く行けよ」という何かのお達しなのだろうかと(^^;。
そのお陰という訳ではないのですが只今通院中です。
痛くなかったせいで気付くのが遅れて、
行かなくては! と思った頃には忙しくなってしまって時間がとれず、
後手に回ってしまったとはいえちょっとアレな状態だったらしく少々反省しております。
しかしアレなのは私の歯なので困るのは私のはずなんですが、
アレな状態で歯医者に行くと「先生ごめんなさい」という気分になるのは何故でしょう……
私だけかしら(笑)。

『ペンギン鉄道なくしもの係』

『ペンギン鉄道なくしもの係』

著者:名取佐和子
出版:幻冬舎/文庫本
発行:2014年6月10日



少々ご縁があって手に取りました。
あまり内容も知らずに読み始めたのですが、
思いの外好みの雰囲気で一気に読み終えてしまいました。
4章に分かれていて1章ずつ物語としては完結していながらなんとなく関連性もあり……
母も読んでる(と思う)んですが、
ちょっと若者向けの設定などもあり若干読み難そうにしてました。
元々ゲーム会社でRPGのストーリーを書いていたという経歴の持ち主なので、
その辺りがちらっと顔を出してるのかな? という印象。

ペンギン可愛いですね。ペンギン。
もっとファンタジー色が強いのかと思っていたのですが、
思いの外きちんと広げた風呂敷が畳まれていてそれはそれですっきりとした読了感。
全体としてはページ数が多いのですが、
章が分かれているのでぱらぱらと捲って読み返すのに程良い感じです。

啓文堂書店の文庫大賞候補作になっているのですが、
他の大賞は発表されているのに何故だか文庫大賞が発表されていない様子……
(2014年10月の売り上げ数で決定)
折角なので選ばれたら良いなぁ〜と時々サイトをチェックしているのですが、
どうなったのかしらん?

『雪と珊瑚と』

『雪と珊瑚と』

著者:梨木香歩
出版:角川書店/単行本
発行:2012年4月28日



たまにしか買わないのですが、
それでもハードカバーの単行本が増えてきてしまったので、
本棚を整理しなくてはなぁ……と思ってきちんと入りきっていなかった数冊を、
本棚から何冊か抜き出して積んであったのですが、
突発的に自室を燻蒸する羽目になり、
燻蒸剤がかかるとまずい物を運び出していた際に、
積んであった本に、直に燻蒸剤を浴びてシミになったりしたら嫌だな、と、
実際にはそんな事にはならないのですが(少なくとも直近では。将来的には分かりませんが)、
反射的に持ち出した数冊の中にあった1冊でした。

因みに日焼け防止のために本棚にはカーテンをかけているので、
本棚の中にある物に関しては直にべったり燻蒸剤がかかったりはしないだろう、という判断で。
「燻蒸しなくてはいけなくなった原因」のお陰で、
わりと動転したままの状態で荷物を運び出していたので、
冷静な判断とか合理的な思考とかは無縁の状態だった事は明記しておきます(^^;。

タイトルの『雪と珊瑚と』というのは主人公の母娘の名前。
梨木さんの本の中ではわりと新しく、読みやすい部類の1冊です。
そして「美味しそう」。
梨木さんの作品は癖が強いので他人様に薦めるのをちょっと躊躇う事が多いのですが、
その中でこれはわりとすんなりとお薦め出来る部類です。
もちろん好き好きはあると思いますが、
私の中では、これが駄目だったら他の作品は薦めないかなぁ、みたいな位置にあります。
ただ、やっぱり、それだけでは終わらないのですが……

書誌情報を調べるためにamazonを見ていたら、
梨木さんの作品は全体的に妙にレビューの評価が高い事に気付きました。
あまり一般受けはしない作風だと思っていたのですが、
意外とそうでもない? それとも、梨木さんマニアのレビューが多い?
この作品に対しても全体的には高評価の様子。
あまり他人様のレビューを見るのが好きではないので内容自体はあまり見ていませんが、
概ね同じような感想が書かれているように思いました。
残りの差は、表面を読むか、その奥まで踏み込んで読むか、という差のような気がします。

読みやすく温かい物語ですが、
読後感は良いとは言い難いちょっと独特の迫力があるような気がします。
そこがまた梨木さんらしいような気がするのですが。

『丹生都比売』

『丹生都比売』

著者:梨木香歩
出版:新潮社/単行本
発行:1995年11月1日



そんな訳で先に出版された版を読み返してました。
多少の加筆があるとはいえ再録されていた方は中編といった感じで、
これ1つだけで単行本になるほどの分量があっただろうか? ……と思ったら、
ページの下1/3ほどが空白になっているという、とても贅沢な装丁の単行本でした。
この余白がなんとも格好いい。
トレーシングペーパーみたいな別紙で人物相関図が入ってます。

草壁皇子が主人公の話で、
加筆されているのは母親である鸕野讃良皇女(持統天皇)のモノローグ。
改めて読んでみてその部分が必要だったか否かは、
作者の思いとか個人の好みとかいろいろあるかと思いますが、
私はどっちの形も好きだなぁ、というずるい感想。

歴史上の出来事を題材にした物語なので、
歴史に詳しい人が読んだらまた別の感想があるのかも知れませんが、
私は歴史はさっぱり! なので、1つの物語として読んでます。
ちょっとファンタジー寄りなのですが、
時代背景を考えても梨木さんの作である事を考えても「現実」の範囲内かな、と。

史実がどうであるかを知る術はもうありませんが、
寂しくて、悲しくて、とても美しい1冊です。

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