『丹生都比売』著者:梨木香歩
出版:新潮社/単行本
発行:1995年11月1日
そんな訳で先に出版された版を読み返してました。
多少の加筆があるとはいえ再録されていた方は中編といった感じで、
これ1つだけで単行本になるほどの分量があっただろうか? ……と思ったら、
ページの下1/3ほどが空白になっているという、とても贅沢な装丁の単行本でした。
この余白がなんとも格好いい。
トレーシングペーパーみたいな別紙で人物相関図が入ってます。
草壁皇子が主人公の話で、
加筆されているのは母親である鸕野讃良皇女(持統天皇)のモノローグ。
改めて読んでみてその部分が必要だったか否かは、
作者の思いとか個人の好みとかいろいろあるかと思いますが、
私はどっちの形も好きだなぁ、というずるい感想。
歴史上の出来事を題材にした物語なので、
歴史に詳しい人が読んだらまた別の感想があるのかも知れませんが、
私は歴史はさっぱり! なので、1つの物語として読んでます。
ちょっとファンタジー寄りなのですが、
時代背景を考えても梨木さんの作である事を考えても「現実」の範囲内かな、と。
史実がどうであるかを知る術はもうありませんが、
寂しくて、悲しくて、とても美しい1冊です。