著者:小野不由美
出版:講談社/講談社X文庫ホワイトハート
発行:2001年9月5日
うちには「お風呂で読む用の本」というのがあります。
濡れてもいいように中古で2冊目を購入して、
置いてあるのがそれなのですが。
なにしろお風呂で読むのであまり重たいものは不向きで、
普段は気軽に読めるようなものを選ぶのですが。
そうなると同じ本を繰り返し読む事になり、
たまには違うのを読もうかと手に取ったのが、
今回の『華胥の幽夢』でした。
一応、短編集ですが。
しかし『十二国記』自体がファンタジーにしては重厚で、
見慣れない単語、見慣れない漢字が多く、
ただ「読む」だけでもちょっと気後れしていたのですが、
これで『華胥の幽夢』が読めたら、
昨年18年ぶりに出版された長編の新刊も読めるのでは、と。
(購入して積ん読はしている。嗜みとして)
とりあえず読み始める事にしました。
+閉
『華胥の幽夢』に収録されているのは5つの短編。
「冬栄」「乗月」「 書簡」「華胥」「帰山」
それぞれ登場する国も時代も違います。
「冬栄」は戴国の話。
まず最初に泰麒が登場した段階で、
「高里くんこんなに可愛かったっけ!?」と。
どうも『魔性の子』の方が印象に強かったようです。
しかしこの時点で泰王が分からない。
本人が登場してさえ「この人?」という感じ。
しかしそれも読み進める内に、
泰麒が泰王を選んだ場面が思い起こされて、
次第に記憶が繋がっていきました。
本当に芋づる式にするすると記憶が呼び起こされて、
様々な場面が脳裏に浮かんできました。
忘れてしまった幼い頃の思い出を、
誰かと語り合いながら思い返すような感じでしょうか。
そうそう、そんな事もあった! と。
『華胥の幽夢』の内容が面白いばかりではなく、
記憶が次々に呼び起こされる事そのものが面白く、
続く4つの話を読みながらも、
あれこれ思い返しながら数日かけて読み進めていきました。
(何しろ入浴中にしか読まないので)
全部読み終わっていろいろ思い出したのですが、
それでもやはり思い出せない事も多く。
しかしとにかく面白い。
そして「あの場面が読みたい!」と思うこと多数。
巣篭もりが呼びかけられるこの時世も手伝って、
この際、最初から読み返す事にしました。
昨年末に読書灯になるライトを購入して、
年始に「読書量を増やす」と目標を掲げていたのが、
ようやっとエンジンがかかってきたようです。
果たして今年は何冊読めるでしょうか。
+閉
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