+閉
私の最愛の作家さんの1人です。
この『楽園の魔女たち』シリーズでどハマりして、
そこから既刊も新刊もほぼ揃えました。
私の語彙力の半分くらいは樹川先生のお陰かもしれません。
『楽園の魔女たち』は4人の少女たちの成長譚です。
でも、実はそれを通して、
師匠であるエイザードの成長譚でもあります。
……成長譚?
改心の記録といったところでしょうか。
ぶっ飛んだハイテンションのコメディの形を取りながら、
その実、題材はかなり緻密でシビアです。
国際問題に、宗教問題に、人種に差別にジェンダーに。
刊行当時の状況ははっきりと把握出来ませんが、
かなり早かったんじゃないかと思います。
今読んでも、ドキっ、とする描写がかなりあります。
読み返して良かったなーというのが現在の感想です。
リアルタイムで追っていた時には、
理解できていなかった部分も分かるようになりました。かなり。
ひらがなが多様されていて騙されがちなのですが、
使われている語彙はかなり高度。
あんなにひらがなばっかりなのに読めない漢字が出てくる。
かと思えば、アダルトな下ネタぶっこんできたり。
当時きっとこれ理解出来てなかったな……? と思う場面が多々。
全巻好きなんですが。
折角なので最終章の『楽園の食卓』についてもうちょっと。
主軸となるのはダナティアでしょうか。
最恐で最強の皇女殿下。
痛々しいほどに全てを背負って立ちますが、
それを力づくで助けに行くのが他の3人の役目というか。
私の推しはサラ・バーリン。
我が道を行くと見せかけながら全ては愛しの殿下のため。
作中一番のキス魔。
個人的にはナハトールと幸せになって欲しいのですが、
実際のところあまり想像はつきません(笑)。
ファリスとマリアの2人は、
お互いに足りないところを補って良いコンビですね。
生真面目なファリスと能天気なマリアと正反対のようで、
甘いラブラブな場面が出てくる2人でもあります。
マリア夫婦はともかくとして、
フレイ少佐の「悪どい手」が気になります。
ナハトールは損な役回りですね。
1人だけ大人だから仕方がない。
お師匠様は背負っているものが多すぎて、
私には未だに全容は理解できていない気がします。
でもとにかく幸せそうだから良いかな。
最後に全てをかっさらっていったごくちゃん。
正体を知った状態でシリーズ読んでると、
また別の感動があります。
リーザレインに関しては想像が及ばない部分もあり。
映像として「どういう状態」なのか。
断面(?)とかあるのか。
想像の余地があるのが小説の良いところでしょうか。
最初の頃は本当にそういう生物というか、
腕だけが動いているのだと思っていたのですが、
どっちかというと「腕しか見えない」という状態らしい。
でも腕だけで箱に入ったりもできる。
うーん。
エイザートが支部長さんに、
サラっと「妹ですよ」って紹介するとこが好きです。
晴れ晴れとした読後感と言いましょうか。
さみしい部分も大きいのですが、
考え得る最良のハッピーエンドなんじゃないかとも思います。
本当に綺麗にまとまってしまったので、
これ以上を望むのは蛇足だろうと思えてしまうのが、
またちょっとさみしい。
短編の外転とかもっと読みたかったなー。
古い作品で残念ながらとっくに絶版ですが、
電子書籍にもなっているのでご興味がある方は是非。
気軽にも読めるし、深くも読めるし、
魅力のたくさん詰まった大好きな作品です。
+閉
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