『日日是好日』
原作:森下典子『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ―』
監督・脚本:大森立嗣
出演:黒木華・樹木希林・多部未華子 他
配信:2018年10月13日
今回は本じゃなくて映画の話です。
見に行ったので感想を。
映画を見に行く習慣がなくて、
調べてみたらどうやら8年ぶりくらいみたいです。
そんな私ですがこれだけはどうしても見たくて行ってきました。
お目当ては樹木希林さん!
以下、感想。
ネタバレ含みます。
+閉
注:思いついたまま書いてるので脈絡ありません。
基本的には原作に忠実な仕上がりだったと思います。
どうしてもダイジェスト的になるのは、
仕方ないにしろ、勿体ない場面も多々あり……
お茶やってない人には意味が分からないだろう場面もあり、
これはどう受け取られるのだろう、と。
良い悪いは分かりませんが気になるところではあります。
心象風景というかイメージ映像みたいな場面に時間を使わず、
もっと最後まで丁寧にお茶を通した場面で繋いで欲しかったですね。
後半は少しお茶から離れてしまった印象。
主人公(作者)の個人的葛藤を通してお茶の世界を描くというか、
お茶の世界にフィードバックさせるのは分かるのですが、
ちょっと、うーん、押し付けがましかったり、
お茶の世界にフィードバックさせた部分の演出が薄かったり。
特にラストの展開は、映画として成り立たせるためには、
父親の死というものがメインにならざるを得なかったのかなぁ……と。
樹木希林さんは本当にギリギリまでお稽古もせず、
一夜漬けのような状態で撮影に臨んだそうです。
(ご本人談なのでどこまで謙遜か分かりませんが)
でも全く「お茶の先生」としての所作に違和感がなく、
感動したのは作中でちゃんと「老ける」こと。
12年以上の月日が流れるのですが、
「おばさん」から「おばあちゃん」になるのはさすがです。
あの独特の存在感。
もっと拝見したかったです。
主演の黒木華さんも「初心者」から「中級者」まで、
所作がきちんと成長しているのはさすが。
女優さんって凄いですね。
中盤から後半にかけて、
長年お稽古を続けてはきたけれど、
自分はお茶に向いてないんじゃないかと葛藤する場面があり、
それを乗り越える部分の展開が薄いような気がして。
原作だと「もうやめる」と半ば決心するところまでいくのですが、
映画ではそこまでの描写はなく、
唐突に(見える)樹木希林さんが「やめるのはいつでも出来る」と。
その辺の流れがちょっと雑な印象でした。
お茶会の場面はかなり誇張されていて、
少しコミカルな「笑い」のとれる場面として演出されていたようで。
正客をさけて右往左往する場面は滑稽で、
映画館でも笑い声が聞こえていて、
私も笑いながら、でも、なんだか泣きそうにもなり。
その場にいた事がある人にしか分からない、
切実な感情があるように思います。
原作にあったお茶会の格好良いシーンは全カット。
お茶時のシーンも最初だけ。
お稽古のシーンももっとじっくり見たかった。
時間が足りないのは仕方ないですが。
お茶室やお道具が大変に豪華でした。
一瞬しか映らないような床の間に、
季節折々の軸やお花がきちんと飾られていて、
障子も夏になれば「よしず」になり庭の景色も美しく。
原作を読んだ時から、
随分と道具持ちの先生だと思っていたのですが、
それを忠実に再現されていたように思います。
上映後にパンフレットを購入したのですが、
作中の軸やお菓子などを紹介しているページもあって、
読めなかった軸を見直せるのが嬉しい。
ただインタビューや座談会的なページがもう少しあったら、
読み応えがあったのですが。
その辺りはあっさりとした構成でした。
映画の「グッズ」として茶筅や懐紙を売っていたのが、
この映画ならではだなぁ、と。
買って帰る人はいるのでしょうか(笑)。
私はとても特殊な立場から見ていて、
共感できたりできなかったりという部分が、
他の人とは違うのではないかと思うので、
もし見たという人がいたら感想を聞いてみたいです。
お茶が飲みたくなったらいらしてください。
うちは裏千家ですが。
+閉