+閉
私が齧っているのは裏千家なので方針や細かい作法は違うのだと思いますが、
面白い教え方をされる先生だな、と思いました。
とにかく何も説明をしない。
考えるな、感じろ! の世界でしょうか。
それでも「初めてのお点前に1時間もかかった」という描写があり、
それはつまり1時間もかけて丁寧に丁寧に細かく教えてくださるという事でしょう。
気が遠くなります。
教える側によほどの気持ちがないと出来ない事だと思います。
しかしあまりにも本当に説明をしない。
何も説明せずにお茶事に連れて行くのはさすがにどうでしょう?
お稽古もせず「本を読んで勉強してきて」とお茶事の亭主役をやらせるのは?
さすがに無理があるように思えます。
とにかく体験してみる事が大切だという事なのかも知れませんが、
うーん……ちょっと考えてしまいます。
お茶会の場面では「いるいるw」というようなおばさま達の描写もあり、
どこも一緒なんだな、と思うところも。
その中でも「こういう人になりたい」と思わせるような先人も登場し、
羨ましいような身が引き締まるような。
雨の音で季節を感じ、花に名前がある事を知り、匂いに目が覚める、
そんな描写が丁寧に描かれていますが、
どうでしょう、さすがにちょっと大袈裟にも思えます。
いつか私にもそんな瞬間が訪れるのでしょうか。
「お茶の才能」という言葉が後半に登場します。
しかしそもそもお茶というのは、
> 『茶の湯とはただ湯をわかし茶をたててのむばかりなる事と知るべし』
というのが利休さんの教えです。
そこに才能とは?
ちょっと違和感がありました。
あと、事あるごとにお稽古をサボろうとしたり、
実際にサボっているのだろうという描写が出てきて、
さらにお稽古に行きたくないという文句が書かれているのですが……
逆に先生側からしてみれば、こんな弟子は嫌だろう、と。
その日来る生徒達の事を考えて、
お道具やお菓子を用意して待っているのに、
当日になって「今日は行きません」だの連絡もなしに大遅刻だの。
ちょっと考えられない。
そういう面も含めて「リアル」なのかも知れませんが。
読めば読むほど樹木希林さんの先生ぶりが気になる1冊でした。
*2018年7月20日
あまりにも眠い時に書いた文章で気持ち悪かったので、
後半ちょっと書き直しました。
+閉